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獣医師の誓い– 95年宣言

人類は、地球の環境を保全し、他の生物と調和を図る責任をもっている。特に獣医師は、動物の健康に責任を有するとともに、人の健康についても密接に関わる役割を担っており、人と動物が共存できる環境を築く立場にある。獣医師は、また、人々がうるおいのある豊かな生活を楽しむことができるよう、広範多岐にわたる専門領域において、社会の要請に積極的に応えていく必要がある。

獣医師は、このような重大な社会的使命を果たすことを誇りとし、自らの生活をも心豊かにすることができるよう、高い見識と厳正な態度で職務を遂行しなければならない。

以上の理念のもとに、私たち獣医師は、次のことを誓う。

  • 動物の生命を尊重し、その健康と福祉に指導的な役割を果たすとともに、人の健康と福祉の増進に努める。
  • 人と動物の絆 ヒューマン・アニマル・ボンドを確立するとともに、平和な社会の発展と環境の保全に努める。
  • 良識ある社会人としての人格と教養を一層高めて、専門職としてふさわしい言動を心がける。
  • 獣医学の最新の知識の吸収と技術の研鑽、普及に励み、関連科学との交流を推進する。
  • 相互の連携と協調を密にし、国際交流を推進して世界の獣医界の発展に努める。

(1995年6月27日 社団法人日本獣医師会 第52回通常総会において採択)

日本獣医師会・獣医師会活動指針

-動物と人の健康は一つ。そして、それは地球の願い。-
  • 地球的課題としての食料・環境問題に対処する上で、生態系の保全とともに、感染症の防御、食料の安定供給などの課題解決に向け、「人と動物の健康は一つと捉え、これが地球環境の保全に、また、安全・安心な社会の実現につながる。」との考え方(One World-One Health)が提唱され、「人と動物が共存して生きる社会」を目指すことが求められている。
  • 一方、動物が果たす役割は、食料供給源としてのほか、イヌやネコなどの家庭動物が「家族の一員・生活の伴侶」として国民生活に浸透するとともに、動物が人の医療・介護・福祉や学校教育分野に進出し、また、生物多様性保全における野生動物の存在など、その担うべき社会的役割は重みを増すとともに、一層多様化してきている。
  • 他方、国民生活の安全・安心や社会・経済の発展を期する上で、食の安全性の確保や口蹄疫、トリインフルエンザ、狂犬病等に代表される新興・再興感染症に対する備えとともに、家庭動物の飼育が国民生活に普及する中で動物の福祉に配慮した適正飼育の推進が、更には、地球環境問題としての生物多様性の保全や野生鳥獣被害対策を推進する上での野生動物保護管理に対する関心が高まってきている。
  • 我々、獣医師は、「日本獣医師会・獣医師倫理綱領 獣医師の誓い―95年宣言」が規定する専門職職業倫理の理念の下で、動物に関する保健衛生の向上と獣医学術の振興・普及を図ること等を通じ、食の安全性の確保、感染症の防御、動物疾病の診断・治療、更には、野生動物保護管理や動物福祉の増進に寄与するとの責務を担っている
  • 獣医師会は、高度専門職業人としての獣医師が組織する公益団体として、獣医師及び獣医療に対する社会的要請を踏まえ、国民生活の安全保障、動物関連産業界の発展による社会経済の安定、更には、地球環境の保全に寄与することを目的に、「動物と人の健康は一つ。そして、それは地球の願い。」を活動の理念として、国民及び地域社会の理解と信頼の下で、獣医師会活動を推進する。
【参考】

「One World-One Health」とは、動物と人及びそれを取り巻く環境(生態系)は、相互につながっていると包括的に捉え、獣医療をはじめ関係する学術分野が「ひとつの健康」の概念を共有して課題解決に当たるべきとの考え。2004年に野生生物保全協会(WCS)が提唱した。また、国際獣疫事務局(OIE)は、2009年に「より安全な世界のための獣医学教育の新展開」に関する勧告において、動物の健康、人の健康は一つであり生態系の健全性の確保につながるとする新たな理念として「One World-One Health」を実行すべきである旨を提唱している。

社団法人日本獣医師会 平成22年度第1回理事会決定(2010年5月),第67回通常総会採択(2010年6月)